発売から3か月経ったが、後2回の追加コンテンツを残している。
つまりまだ未知なる楽しさが残る一方で、今作は細部にこだわって作られているため、制作陣の本気がうかがえる。
そんな風花雪月を実際にプレイしたからこそわかる魅力を今回はテーマを「音」に絞って前座と真打ちの形式で記載する。
ソフト概要
発売日
2019年7月26日(金)
対応機種
ニンテンドースイッチ
ゲームジャンル
育成シュミレーションRPG
価格
通常盤 6,980円+税
フォドラコレクション盤 9,980円+税
追加コンテンツ 2,500円(税込)
公式ホームページ
https://www.nintendo.co.jp/switch/anvya/pc/index.html
BGM
まずは前座。
BGMはハードの質に伴って向上してきた。
GBA以前のハードだと容量の問題かBGM自体も長くなかったが、GC版の「蒼炎の軌跡」からBGMも本格的になってきた。
同じ時期に発売されている、「スーパーマリオサンシャイン」や、「ゼルダの伝説風のタクト」など、各シリーズを比較すれば一目瞭然だろう。
次いでWiiで発売された「暁の女神」では、戦闘アニメ時に流れるBGMが常に頭からだったシステムから途中再生に切り替わったため、サウンドテストに行かずとも最後まで楽しむことができた。
3DS版の「覚醒」では戦場と戦闘アニメで異なっていたBGMを統一し、キャラを操作する戦場ではメロディー中心、戦闘アニメ時にベースなどを加えることで差別化を図り、「if」これに続いた。
ただ戦闘アニメはほんの数秒しか流れないのに対し、キャラを操作する戦場はどのキャラをどう動かすか長考することもあるため、長く聴くことが多い。
ましては最新作の風花雪月は据え置き型ゲーム機であるニンテンドースイッチ向けの作品。
難易度も高いため、「if」までの形式だと盛り上がりに欠けてしまう。
そのため今作ではキャラを操作する戦場は今まで通りメロディー中心のBGMを流し、戦闘アニメ時はベースを中心にしてメロディーを流さない演出へ変更している。
お陰で戦場で長考しているときでもメロディーを聴いて楽しむことができ、バトル時は戦闘アニメを見て楽しむことができる。
耳と目の両方でより楽しめるように演出されているため、バトル中ずっと楽しめるようになったのは嬉しい限り。
キャラクターボイス
いよいよ真打ち。
前々作の「覚醒」からキャラクターボイスがつくようになり、リメイクの「Echoes」でフルボイスになった。
「覚醒」と「if」はゼルダシリーズのように一言喋る程度なことと、キャラクターが多いため出番の少ないキャラは1人2役なんてこともあった。
しかし今作はフルボイスなこととセリフのテキストがシリーズ最多なので、1人1役になっている。
5年の歳月
今作は2部構成となっており、1部の士官学校偏と2部の戦争編の間に5年の歳月が流れている。
これによってそれぞれの学級に所属していた生徒全員と最年少のツィリルの声色が変化している。
キャラによってわかりやすさは異なるが、リンハルト、ベルナデッタ、イグナーツ、ツィリルの4人はすぐにわかる。
男性キャラの多くは成長を表現するために声が低くなっているので、イケボ化しているキャラが多数になっている中、上記の3人はギャップがありすぎてビックリしてしまった。
ちなみにそれぞれの声優はリンハルトが堀江瞬、イグナーツが矢野奨吾、ツィリルが河西健吾、となっている。
テキスト
ストーリー上に現れるセリフの分岐は勿論、大修道院内の探索時や第二部でスカウトしたキャラとしなかったキャラのやり取り(フェリクスとシルヴァン)など、1人で全て見るには何百何千時間かかってしまうほどの量になっている。
私はストーリーをのんびり遊んでいる身なので、支援会話くらいしか集めていないが、中にはそれらを集めている猛者の方々もいる。
そんな猛者の方々が有志で全てみられる日もあるだろうが、それらを見るうちに相当な量であることに驚かされる。
例えば、食堂で特定のペアで特定の料理を食べないとみられない会話もあることを猛者たちの努力で知ったときは、隠しテキスト感が半端ないと思ってしまったほど。
戦闘中
今作は全キャラフルボイスだが、それは戦闘中にも反映されている。
例えばキャラを選択したとき一言発するのだが、これが一部の士官学校偏と二部の戦争編で異なる。
1人挙げるとフェルディナントは1部だと「我が名は、フェルディナント=フォン=エーギル!」と自身に満ちた一言だったが、2部だと「戦場に立つ以上、覚悟はできている……!」とセリフにも成長が窺える。
更にHPの残量が満タン近く、半分ほど、1/4ほどでセリフが異なるため6パターン存在する。
しかも攻撃する際、「エイッ‼」と一言発するのだが、これも同様に6パターンに分かれている。
これに加えて近くで味方が敵を倒すと「流石だ」などの一言いうため、テキストにならない声も多く収録されている。
味方だけでもテキスト化しない声が多いのだが、収録されている声は味方だけではない。
なんとザコ敵にも声が収録されている。
攻撃する際や避けるとき、倒れた時に加え、めったに見られない必殺の一撃にも。
最後に
今回は音に関するものに限って魅力を紹介したが、BGMやキャラクターボイスは極端なことを言うと無くても全く支障は無い。
しかし、音があるだけ臨場感は全く異なるものになる。
キャラクターの声自体がいい例だが、どんな感情を持って喋っているかも聞くだけでわかる。
いい例が2部でベルナデッタが敵を倒した際「また生き延びた……、また殺した……!」と言うのだが、テキストだけだとイントネーション次第では、殺人鬼が狂喜しているように見えなくもない。
ここに声優さん(ベルナデッタ役は辻あゆみ)の声が入ることで20歳過ぎの人間が戦争に対する複雑な心境を窺える。
発売日に購入した人は2部を終戦記念日(8/15)近くにプレイしていると思うので、血は流れずとも戦争の悲惨さを感じながらプレイした人も多いのではないだろうか。
ストーリーやゲームシステムも勿論だが、縁の下の力持ちのような存在である音があるからこそ、多彩な表現ができるゲームになっている。
ただ1つ残念なのは支援会話で1部でも2部でも聞ける際に声色が1部のものしかないため、2部で聞くと違和感しか抱けないのは残念。
容量も問題もあったと思うが、拘ってほしかった。
今後のアップデートにわずかな希望を抱きたいと思う。
これからもどうぞよろしく